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H1
令和2年度研究の概要(1)
コンテンツ
テーマ
濃色豚スエードの染色堅ろう度向上
計画
令和元~3年度
目的
皮革の染色には一般的に酸性染料が用いられているが、皮革は湿潤時の耐熱性が低く、高温での固着処理ができないため、色落ちしやすい。特に、スエードやヌバックなどの起毛革は、塗装仕上げを施さないため、色落ちを防ぐのが難しい。そのため、濃色豚スエードの用途は、色落ちが問題にならない靴甲革用などが多い。豚スエードの新たな用途展開を行っていくためには、色落ちしにくい革が求められる。反応染料を皮革に用いる場合、濃色が出にくく、風合いが硬くなるなどの理由から普及していない。過去には、牛革や羊革を対象に皮革用反応染料を用いた研究成果があるが、豚スエードにおける報告例はほとんどない。そこで豚スエードにおいて、反応染料を用いた染色方法を検討し、濃色かつ高堅ろう度となる効果的な処方を見出す。
内容
昨年度は、15種類の黒色反応染料と2種類の加脂剤を用い、染色性及び染色堅ろう度の点で比較した結果、濃黒色に染まる反応染料と高堅ろう度をもたらす加脂剤の組み合わせを見出した。加脂剤に関しては、アニオン性よりも防水性加脂剤を用いた方が濃色となり、湿潤時の染色摩擦堅ろう度も向上することがわかった。今年度は、染色温度やpH等の最適条件を検討する来年度は、実用化に向けた実証実験を行う予定である。
効果
これまで濃色豚スエードでは敬遠されていたハンドバッグや裏地のない衣料などにも用いることができ、販路拡大が期待できる。