【全・日】本所サブタイトル

皮革技術センター [皮革全般]

H1

令和6年度研究の概要(2)

コンテンツ
テーマ 反応染料による羊スエードの濃色高堅ろう度染色
計画 令和6~8年度
目的   本研究は、反応染料を用いて、クラスト革の状態から染色を行う羊スエードに対応した、濃色かつ高堅ろう度で硬くならない染色方法の確立を目的とする。
  皮革の染色では主に酸性染料が用いられるが、革と染料の結合が弱いため色落ちしやすい。特にスエードやヌバックなどの起毛革は、塗装仕上げを施さないため色落ちを防ぐのが難しい。羊スエード革を黒色などの濃色に染める場合、染め上がりの色を濃くするため塩基性染料による工程を追加することもあるが、このことがさらに堅ろう度を低下させている現状がある。 
  一方、綿などのセルロース繊維では、繊維と強く結合する反応染料が広く用いられているが、皮革に用いる場合は、濃色が出にくい、風合いが硬くなるなどの理由から普及していない。そこで、当センター既報では、豚スエードを対象として反応染料を用いて硬くならずに濃色となる染色方法を確立し、良好な堅ろう度を得た。しかし、この処方を羊革に応用したところ、豚革と同程度の濃色にはならなかった。要因として、染色において豚革は国内で一貫して原皮から製造する中でクロム鞣し革(ウェットブルー)を原料とするが、羊は海外の工場で処理されたクラスト革を原料とする違い等が考えられる。そこで新たに、羊クラスト革に特化した染色方法を検討する必要がある。
内容   羊クラスト革において反応染料を用い、各種染色方法を検討する。測色値や染色堅ろう度等から評価し、濃色かつ高堅ろう度で硬くならない効果的な染色方法を見出す。
令和6年度:クラスト革の濃色染色を阻害する原因の究明および対策の検討
令和7年度:濃色かつ高堅ろう度とするための使用薬剤や染色条件等の検討
令和8年度:実用化に向けた染色処方の確立
効果   濃色羊スエード革製品の、色落ちに対するクレーム軽減による信頼性の向上につながる。また、色落ちすることで敬遠されてきたハンドバッグ、衣料などへの需要拡大が期待できる。