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令和8年度研究評価部会報告

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令和8年度 東京都立皮革技術センター推進協議会・研究評価部会 報告

  令和8年度第1回東京都立皮革技術センター推進協議会研究評価部会が、令和8年6月18日に開催された。令和9年度から実施される研究課題についての事前評価が行われた。

研究評価部会委員

外部より選任された委員(7名)

事前評価対象の研究テーマ

事前評価対象の研究テーマ  (研究期間)

(1) 加水分解ケラチンの染色工程への活用
(令和9年4月1日 ~ 令和12年3月31日)

(2) 豚原皮由来コラーゲン素材の高度利用に向けた性状解析
(令和9年4月1日 ~ 令和12年3月31日)

研究テーマの事前評価結果等

加水分解ケラチンの染色工程への活用

(1)研究の背景・目的・内容
ア 研究の背景・目的
<背景>
  センターで開発した高濃度アルカリ脱毛法により、従来は廃棄されていた脱毛排水から高濃度加水分解ケラチンを効率的に回収することが可能となった。これを豚ウェットブルーに添加した結果、引裂強さの向上や部位差の軽減による品質の均質化、銀面補修など多岐にわたる物理的改善効果が確認された。また、検証過程では目視レベルで色味が鮮やかになるという定性的変化を見出したが、この現象を裏付ける定量的評価や、発色に至るメカニズムの解明には至っていない。一方、製革業界では革の品質向上に加え、環境負荷低減への取り組みが重要視されており、副産物の有効利用もその一環として注目されている。そこで、脱毛工程で発生する加水分解ケラチンを染色工程の改善に活用できれば、革の品質向上のみならず業界が求める環境配慮も同時に達成できる可能性がある。

<目的>
  本研究は、加水分解ケラチンが染色性に及ぼす影響を多角的に分析し、適切な染色方法の確立を目的とする。具体的には、添加量や温度等の条件検討を通じて最適な処方を構築する。また、並行して基礎的研究を展開し、染色特性に関する知見の収集・蓄積に努める。これにより物理的強度と染色性の課題を同時に解決し、ケラチンを活用した製革工程の確立を通じて、地元企業の製品力強化と都内皮革産業の活性化を目指す。
 
イ 研究の内容
令和9年度:加水分解ケラチンが染色工程にもたらす影響を定量的に評価し、化学的要因を明らかにする。
令和10年度:染色工程においてケラチンを作用させる具体的な処方を検討し、添加のタイミングや濃度、温度などの最適条件を探索する。
令和11年度:複数の染料における再現性を確認し、実用化に向けた検討を行う。

 
(2) 評価
  部会としてA(良い)と評価する。植物タンニンなめしについても、同様の研究を実施すべきとの意見が出された。

豚原皮由来コラーゲン素材の高度利用に向けた性状解析

(1) 研究の背景・目的・内容
ア 研究の背景・目的
<背景>
  現在の皮革需要の減退に伴い国内豚原皮価格は深刻な低迷に直面している。国内の皮革製造縮小と輸出の低迷が、原皮価格の下落に拍車をかけている。この未利用資源を活用し、皮革製造に依存してきた従来の産業構造からコラーゲン等の製造も行う多角化を促すことは、鞣製業の経営安定化に寄与する。また、畜産副産物の価値再生は畜産業の持続可能性を高める上でも重要である。センターで開発した新規脱毛法では、全薬剤を食品添加物グレードに限定して従来以上の安全性を担保し、国産のトレーサビリティも開示できる。これらの利点を活かし、食品・医療市場向けの高度なバイオ粉末原料への用途展開が可能になる。

 <目的>
  本研究は、新規脱毛法を基盤に、裸皮の精製(脱塩)による純粋なコラーゲン化、効率的な抽出法の確立、抽出物の基礎的性状解析、さらには製造を見越した高度なパウダー化まで、基礎から応用にいたる一連の工程を網羅的に研究・確立することを目的とする。当面は、熱変性を防ぎ低吸湿・高溶解性を実現する粉末の安定製造に焦点を絞る。これにより、未利用副産物の産業的価値を高め、事業多角化を通じた鞣製業の経営安定と畜産業の持続可能性向上に寄与することを目指す。

イ 研究の内容
令和9年度:食品添加物(乳酸等)を用いた独自の洗浄・中和技術を構築し、高濃度アルカリ処理後のコラーゲン繊維から塩分や不純物を極限まで取り除く最適条件を確立する。
令和10年度:高純度抽出液への酵素分解やpH制御を実施し、スプレードライ等の技術を活用して、熱変性を抑えたコラーゲン粉末のプロトタイプを調製する。
令和11年度:調製した粉末素材について、保存時の安定性や、水に戻した際の粘度・溶解性といった素材の基礎的性状を検証し、実用化に向けた基礎データを蓄積する。
 

(2) 評価
  部会としてA(良い)と評価する。幅広い視野で製品化につなげて欲しいとの意見が出された。